どしゃぶり長距離ランナー/麦穂の海
 
「一人でディズニーランドのフィナーレに上がる花火を見た。
水族館の多面体ガラスドームに、ダイアと花の観覧車が映る時
すごくきれいだと思ったけど、同時に私が人生に欲しいものって
何だろうって思った」

痛いほど降りしきる
豪雨を泣きながら
駆け抜けていくような


止まったらそのまま
立てなくなっちゃうから
走るしかない
というような

そんな
“どしゃぶり長距離ランナー”の女がいた

パッションという
火のしぶきに突き動かされた有意の人が
鱗粉を放って街を往く

そのよい匂いのする微光に
近づきたくて

正拳突きでガラス戸を破ったら
Tシャ
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