飛歌/木立 悟
空を一巡する声は
風のつづき
鳥のつづき
手わたされる糸
瞳の軌跡
夜から朝への
器のつづき
しっかり速く
黄金に変わり
こぼれ落ちる火
紡がれる時
触れてゆく
触れてゆく
触れてゆく景
小さな波のはじまりを
鏡の流れのはじまりを
大きな花と大きな葉
光のように促している
とどこおることなく透きとおり
かじかんだ指をひらいては
曇は晴れ間を追い越してゆく
降る星の網に
星座という魚
放射という波
静かにこぼれ
抄う手のひら
歌う手のひら
霧の輪のなか矢をつがえ
狩人は黄金を聴いている
どこにも届くことのない
鉄のつづき
夜のつづきを受けとめて
器は冬の地に立ちつくす
花のかたちに立ちつくす
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