俺の一日にはずっと同じ形の染みが記されてゆく/ホロウ・シカエルボク
 
きてきた時間が行をかさばらせてゆく
隣の誰かと同じ言葉で
今日の一日を終わらせたくなんかない
自己紹介は
一生かけて終わらせるつもりさ
概要なんかじゃなくて
すべて並べるまで終わらせたりしないつもりさ
俺は連続して鳴き続ける蝉さ
そこには生きても生きても
判らない悔しさと可笑しさが見え隠れするのさ
早く死ぬやつらの潔さなんかそこには微塵もありはしないのさ
俺はそんな運命でよかったと今夜も胸を撫で下ろし
三〇まで生きられないだろうと思っていた自分の一〇代を嘲笑する
確実に俺にはまだ明日が残されているだろう
キーボードを叩く音やペンシルを走らせる音
前頭葉が小さな回転音を立てながらいまこのときであろうとする音
それはもっとも単純明快な俺自身の証明だ、だけど
そのシンプルには死ぬまで積み上げたフレーズがきっと必要になる







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