ぼくはあなたをうしなっている/吉岡ペペロ
 
6月の中旬

いつもと感じが違うメールがあった

いつもだったら

<いまおきた>だったのが

<いまおきましたよ>だった

ぼくは勝手にひどく傷ついて

それから

<〜ましたよ>というメールをなんどかした

傷ついていることに気づいて欲しかった

6月の下旬

なんとなく

いつもの慌ただしさを感じないメールを見つめながら

駅で待っていた

自転車で現れた顔は

困ったような呆然としたような顔だった

中二のとき

突然ぼくを無視した有田くんが

さいごに見せた顔だった

夜レストランで

ぼくは喋りつづけその店を褒めつづけた

ベッドではなにもしなかった出来なかった

朝ふたりでどうじにイッた

それ以来

ぼくはあなたをうしなっている






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