駅/花キリン
 

止まらない電車がある
一本乗り遅れると一日待っても電車は来ない
行き先は右か左か
悲しみを時間の中に置いて
見送るもののその先を考えている
長い読経が終わった
乗り遅れないようにと位牌も遺骨も
駅の一番前に立っている
涙を誘うように
写真は少し離れてベンチに座っている
冷たい風が吹いてくる
無人駅の時刻表には
一本だけ時間が黒塗りで線引きされているだけだ
止まらない電車が何本も通り過ぎていった
嗚咽するものが そろそろだな
と 呟く


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