薔薇のうみ/
洞野いちる
赤の鎖が 手足に食い込んでゆく
薔薇のうみのなか
催淫はもう身体を支配している
胸の上にのしかかってくる重圧感
息を吸い込めば 香る 甘美
薔薇の棘の痕 舐めるざらついた舌
拒否したい なのに 躯は縋り求める
崩れゆく理性 残る野獣の本能
解かれるように 全てが曝け出されてゆく
薔薇の華が揺れる
香り 誘う
身体中を刺す赤い棘の痛み
甘すぎて くるしい
嗚呼 わたしは もう
赤の呪縛から 逃げられない
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