街路樹/マチムラ
冬の彼らは
さながら磔刑にされた聖人
葉の仮衣を落として裸をさらし
いつの間にか澄んできた空を
悟りきった瞳で仰ぎ
死にゆく夕日の断末魔の叫びに応えて
沈黙のうちにあらわな本性になる
ああ彼らは
夕日を影に
黒い輪郭に暮れてゆきながら
なおどくどくと脈打つ毛細血管の形で
空に体を投げ出して消え入ろうとする
そのあふれる枝先から
行き場のない夕焼けが
血しぶきのように広がってゆく
そしてああ
私たちは彼らを
街路樹などと親しみを込めて
気安く呼ぶのだ
そしてああ
私たちは彼らを
大地を隷属させた記念として
目に付く場所にさらしておくのだ
畏れも忘れて
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