ある朝/マチムラ
 
掬い上げられた水は
もう指の間から逃げ出すことを
考えている

地球の重力から逃れて
日に日に遠ざかっていくお月様は
とうとうその背中さえ見せず

呆れ顔のスフィンクスは
もう人間たちのために
問うことをやめてしまった

それでもまあ、よしとして
僕はニンジンとブロッコリーを
腹に入れ

得体の知れない健康水を
妻のためにと
がぶがぶ飲み

しまいにはあらゆる不幸の
デパートみたいな新聞を
飛ばし読む

僕の朝はこんなもの
君の朝もこうあってほしいけど

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