ひさしぶりの世界は/ブロッコリーマン
ひさしぶりの世界はするどいやいばだった
半透明な空から直線が降りてきて
その一部になった光があまりにもうるさい
電車が通る音と本当に見分けがつかない
放射能の息を浴びた雨粒も
束になって襲いかかる
今日の寄り道は諦めてしまった
ひさしぶりの世界はしみだすどくだった
最近買った薄型テレビの向こうには
「楽しくない」と言う子供がいた
残念なことに、それすら僕は楽しい
誰にでもわかるように、しっかり溜息を吐いて
次の呼吸でキャラメルの香りを頭蓋に招く
それは滲みだす毒のようだったから。
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