ワルツ/草野春心
 


  雨がふったら
  傘を差しましょう



  ワルツ、
  そう、ワルツ。遠いところ
  ふたり笑って
  置きわすれたもの



  雨がやんだら
  傘は捨てましょう
  ワルツ、
  そう、ワルツ。夏のかたすみ
  ふたり笑って
  喋り合ったこと



  そう、それは幻。
  それは生きることから
  摘みあげられた赤い果実
  ワルツ、
  ワルツ、
  それでも、ワルツ。いつか会えたら
  積みかさねてきたサヨナラも
  光のように撒きちらして



  光のまわりを
  私たちは踊りましょう
  ワルツ、
  そう、ワルツ。ふたり笑って
  いつも笑って
  めぐりあえるもの




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