火打ち石/るるりら
ち 青かった空の色が どんと重くなり
太陽の大きな朱色のせいで 青い空よりも安心できた
おひさまの まるさに
沈まないでほしいと 祈った
おひさまは まっすぐな 水平線の まんなかで
わたしと目線を あわせて ただただ じっと そこにいてくれた
あれは すごい 真っ赤な 夕日じゃった
それからね
無人島からね 帰ってきてからね
でも まだ あの 沈んでゆくおひさまの視線を ね
朝になると のぼってゆく おひさまの視線を ね
思うんじゃ
夕日と朝日の ふたつの火花をさあ
あの子と私の ふたつの火花をさあ
思い だす ん じあ
あ 今 さあ
きな臭いな
眠れない夜
うちんちの台所で あの島の石を叩いたらさ
ゆびさきほどの きな臭さ だよ
なんか 海が ドクドクしてくる
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