はちがつ/ホロウ・シカエルボク
 
、日常的な逆流の中で冷汗を吹き出しているのは、とときどききみに尋ねたい気がして、そのたびにぼくは自分がひどい馬鹿になったような気分になる、そんなこときみがきみ自身に問いかけていないわけがないのだ、「そうだね」と言ってぼくは立ち上がる、髪の先に乗っかっていた汗が飲み込んだ言葉とともに落ちる、そんな夏の風景って妙にあとあと記憶に居座るんだよな、とか思いながらぼくはきみの手を取る、近くの自動車工場で流れてるAMラジオから井上陽水のあの歌が流れる、それは陽水とはまるで関係のないところで、無個性的なくだらないものになり下がってしまっている。


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