遠近法/千波 一也
 
面に映る
 雲がゆれ
 る



空から降りる
それ、が
雨なら

それ、の
降りたすべても
雨にほかならない



 波間に
 あらわれて、は
 遠のいてゆく日々を

 幾度も
 飲み干してきた

 砂、と
 して



微細な空が
遠大な空を埋め尽くすから

遠大な空は
均衡を保つしかない
微細に、
保つしなかい



雨、のかなたに
あるいは底に

雨の隣、に
あるいは手中に

はじめから
決まりごとなど
なかったよう、に

雨は
ひとつになろうとしている







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