埋もれそうな意義/yuugao
屋根つきのテントの下で
衰えを知らない管楽器の音を聴きながら
ドリンクサービスのグラスを前にして
売り子のように気取ってみせる。
これ、なんとなく夢だったんだよね。
我に返そうとする、もう一人の我を振り切って
「我ここに在り」なんて
ついつい調子づいて輪をかけてしまう。
そろそろ限界かな。
怪しく思われ始めるサインを感じて
足早に引き返してきた。
さて、さりげなくグラスのお替りをと。
新しいグラスを手にして
そそくさとテントから離れ
自分の定位置へと戻る。
これでまた、いつもの通りに出てしまったなぁ。
どうせ、グラスを持ったら見失える存在なのだから
少しくらい見逃してくれてもいいじゃないか。
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