水へのコラージュ/草野春心
ゆるやかに
わたしへと
すこやかに
*
あなたに
わたしが
口づけたところから
シマウマの死体がこぼれ
その
首筋の
赤い痕跡から
獰猛な黒豹がこぼれ
その
鋭く輝く
一対の瞳から
広大な
黄金のサバンナがこぼれ
わたしが
そこを歩いていると
かさかさと
乾いた熱風が吹き
一本の樹から
いつかの青空がこぼれ
あなたが
そっと
微笑むと
青空は
ふいに
はげしく淀み
いくつもの
雨粒がこぼれ
わたしと
あなたは
はじまりへ
映しとられ
家に帰り
出会いなおし
いつまでも
おなじではない
わたしと
あなたは
はじまりへ
うばいとられ
いつまでも
いつまでも}
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