言葉のゆくえ??夜のめるへん/佐々木青
 
街灯が力なく点滅している。ちょっと変な色になって。
「そこの、細っこいの」
街灯なんぞに細い呼ばわりされたくはなかったが、私は蛾がたかっているその老いた街灯を見上げた。

「あんた、どこに行くんだ。あんたみたいのがいるからこのおれがいつまでも光ってなきゃいけないんだからな。おかげでもうすぐ旅立ちそうだ。おい、はやいとこ電球かえるように言っておいてくれよ。こちとら瓦斯燈時代から早数十年、光りっぱなしだよ。おれの苦労、わかってるのか。で、どこ行くんだ。あんたみたいのがいるからおれは・・・・・・」

どうもよく喋る街灯で、私は無視しようとした。しかし、彼も風前の灯のようだったから、しばらく付
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