言葉のゆくえ??夜のめるへん/佐々木青
 

  序―夜を歩く

私がつむぎだした言葉たちは、果たして私を救うのだろうか。暗鬱の底にある私の精神をそれらは果たして白日のもとに連れ出すのであろうか。私は語り出す。ゆるやかに、徹頭徹尾、あざやかに。

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木の葉をゆらしながら私に吹きつける風は、多くのことを話してくれる。

「色のはげたベンチでよかったらいつまでも座っているといい。暑い夏ならば私が肌を冷やしてやろう」

「もうお帰りなさい。あなたに愛をおしまぬ人がどれほど胸のつまる思いをしていることでしょう。さあ、何もなかったようにお帰りなさい」

なおもやさしげに私のまわりでささやきあう。

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