イギリス/梶谷あや子
すさをして 彼が
焦がれるほどの
あこがれの最中にあったものを
俺も垣間見たのだ
この熱さの最中に
見落とした雨のなかに
そしていつかまた 燃えおちる、
彼の空や 星や 海を
うつす碧い目が 俺のもとへ
と(まっすぐに)
帰ってくるのを待っている
俺は住み慣れたこの家を出たら
思いでのなかの 小さな公園をぬけよう
語るためのことばが いま尽きるとも
今度はもう出会えないとしても
想い描く、
(君はどこまで飛んでいくのだろう?
あたたかく湿った髪の毛に
差し入れられた夕暮れの
その碧が
俺の目に染み込んで
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)