イギリス/梶谷あや子
俺もなりたかった
そうして凍える指を
化学の虹に伸ばして
ただお前が残っていた笑い顔に
哀しいことはひとつもなかった
お前が一緒に行こうと云ったので
俺はきっとあの森で
心配事なんて何もない
あとはもう最後まで
この指を伸ばして
?
気管に焼け付き
嗄れ逝く声を
剥がせない指で
かき結んだ
ばら色の風が抜ける
あなたの産まれるのが今
聞こえる
駆け出しながら
私は泣いた
引きずられた歴史の
これは約束だったのだ
そして何もかもが白く、
燃えて
?
こわいな
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