月に咲く花/
橘あまね
秋の予感がする夜に
金色の蛾は
星をなぞってとぶ
さみしげにゆれる
夏草の穂に沿って
古い時間がとむらわれる
月に咲く花
ただ一輪の歌
真空を呼吸して
たましいたちを導く
終わりゆく夜に
なぞられる記憶と
新しい予感とを
重ねて
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