つたの洋館/はるな
ティッシュペーパーに百円ショップのサインペンで絵を書いていたよね。いちばん毒々しい色合いになるからって。僕は意味がわからなかったけど、なんとなくかなしい感じにえがかれるティッシュペーパー嫌いじゃなかった。好きだった。
目を閉じてうしろむきに歩いたりさ。ちょっとずつ過去に進むとか言いながら。地球が逆立ちして粟立っていた。僕は意味がわからなかったけど、でもちょっと後ろめたいみたいなぞくっとする心地なら感じてた。
そのときにはそうだってわからなかったけど、でも確かにそこにそれはあったんだ。
「つたの洋館」を覚えている?
このまえたまたま通りかかったら、それはそのままそこにあったよ。暑苦し
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