ボウは嵐の夜に/
こん
飛ばされないよう
鋭利な岩にしがみついていると
尖る砕石が頬といわず腕といわず
鉤裂きの傷をつけてゆく
ボウの腕を伝い
指先から滴り落ちる血
ひとつぶ
ふたつぶ
ひび割れた大地が呑み込むと
ようやく扉はボウを吐き出す
僅かばかりの暖かい砂地で
傷だらけのまま倒れていると
美しく光る波が見える
涙は出ない
ただ美しいと思う
それがボウの日常
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