愛について /wako
私達
机上に文字を並べて
ああだこうだと論じ続ける
あげくの果てに
仮定法まで持ち出して
議論はさらに迷路の奥へ
理想と現実が複雑に絡まり
出口はさらに遠のく
出口はあるのか
ないのか
疲れ果てて視線を落とせば
異様な気配
文字はムックリ起き上がって
あたりを見回す
そして
先行き決まらぬ不安さに
身を震わせて絶叫する
勢い余って説教始める
カッと目を見開いて
仁王立ちになって
今さら定義など
澱んだ空気の押入れから
使い古した教科書をひっぱり出す様なもの
カビの臭いのするページを繰っても
何の役にもたちはしない
変色した教訓など
風化した教えなど
使い古した言葉など
いずれは褪せて朽ちていく
「思うままに」
文字は一瞬のうちに
紙にもぐり込んでしまった
それ以来時々
私のペン先で睨みを利かせる
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