甘噛みのひと/
恋月 ぴの
生を繋ごうとする本能の恐ろしさよ
抜いてはならぬとばかり、おとこの腰に絡めた己の執念深さ
それほどまでして産んだ我が子の行く末など
恐ろしくもあり
そして哀しくもあり
※
アキアカネの飛翔でも見かけられるなら
多少なりとも救われるものを
日差しの酷薄さは密やかな願いさえも無に帰してしまうようで
誰が打ち捨てたのか、ひしゃげた日傘は熱風に舞う
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