甘噛みのひと/恋月 ぴの
その橋の欄干から身を乗り出せば
清らかな流れの中ほどに石ころだらけの中洲
別段、川の流れに抗う姿勢をみせるでもなく
上流に夕立でもあればあっさりと荒くなった流れに呑まれ
ちょうど今ごろの季節なら週末ともなると
バーベキューの歓声が辺りを支配し
総ては川の流れが清めてくれるものと決め付けている
※
生きるとはなんだろう
あえてそんな問いに悩まずとも
ひとは生きる
生きてしまえるもの
川の流れをよく見やれば
ウミウの襲来などものともせずにひらを打つハヤの群れ
ひとかたまりと川面に揺れる
※
むやみやたらと子が欲しくなる
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