書かなければいけない、ということについては/ホロウ・シカエルボク
書かなければいけない、と決められたことには
ギリギリまで、おれは、手を着けることはしない
いよいよ時間がなくなって、おまけに
だらしないあくびが出る頃になって、ようやく、手を着ける
そのほかの時間は、とっておきたいからだ、書かなければいけない、と
決めていることのために
夏休みの、最後の一日が、事もなく過ぎようとしている
二日前の朗読会は、もう、遙か昔の事みたい
おれは、ダラダラとブコウスキーの短編を読みながら、ふと、本棚に、目をやると
女子高生にイタズラをするタコ坊主のそばでたばこを吸う三上と
リンゴの赤がハートに見えるように両手で
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