幸子ちゃん/藤鈴呼
 
さちこちゃんも 仕事が有るので
私の部屋に 一泊させて欲しい
そう 言うのだ

すがるような 四つの目
傍らには 年老いた母

部屋が 狭いからね
泊めてあげたいのだけれど
布団も シーツも 無いのよ

少しの罪悪感に 駆られながら目覚めた
不機嫌な 朝の行方

久々の 塩風呂に 身体を浸し
心の結晶を 取り出して 磨く

昨日の風雨で 浴槽に落ちた石鹸を
ぬめらせながら 抜きとるように

キコキコ
もう一度
そんな 音が 響く時まで

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