罪人は夢を見る/五月(gogatu)
 
成り立っているだけの関係を嘲笑うように
まだ冷たい、夕暮れの水槽に突き落とした
黒い睫が、薄汚い涙となって水に溶け落ちる
水面に沈まないよう必死に踊れ
死にたくないと泣き叫びながら
苦しい、
息をしたい、
生きたい、
(行きたくない…
僕らはそうまでして
(課せられた呼吸困難と時折の恐怖

可奈子、
水底で横たわる人魚
時計の針が進むことはない
力なく俯き、そのときを待つ
僕たちに帰る場所はない

罪人だ
僕たちは罪人だ
窓硝子の向こう側で
星たちが点灯した
限りなく広がる暗闇の向こう側で
いくつの文明が塵と消えたのだろう
僕らが罪を感じたり
また
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