序説∧序奏/nao
 
「序説∧序奏」
 

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 愛らしい風を
  振り撒いて
  感傷を仄めかせ
   君に入っていく
    恐るべき
   金木犀が香る
   十月の夕暮れは
   何もかもが
  激しい光彩で
  朝焼け紛れの
 茜色に侵され 
 誰かヒトリの
  奏でる指先が
   時の気配に
  我慢仕切れず
   三脚写真機の
   シャッターを斬ると
   ストロボは全てを
  秘密事のように
 美しさを内に抱き
 悲鳴と耳鳴りに似た
  何処までも尾を引く
   身勝手な挨拶が

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