初秋の頃に/花キリン
 
昨日A君と久し振りに会った
少し立ち話をして電車どおりの角で別れた
そう言えばB君から残暑見舞いがきていた
彼岸花の絵模様だけだったが

A君とB君とも
長い間行き来が途絶えていたから
何を話しどんな返事を書いたのか
すっかり忘れてしまった

初秋の頃になると
とんでもないハプニングが飛び出してくるから
現実的でないものが
現実のように見えたりする

ここから少し先には
悲しい出来事が一杯あって
あの世とこの世とを行ったり来たりして
ときどき驚かせたりしている

A君には
会ってはいけない場所で会ってしまったのかも知れない
B君には
出してはいけない返事を出してしまったのかも知れない

供養の時期が熟する頃になると
日の暮れが一層深まり
幾つかの反省が
深く心の奥底に沈みこんでいくのだ

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