板谷基雄の危篤/板谷みきょう
 
がら
麻薬と麻酔薬を調整され管理されて
痛みも意識も奪われた
身の置き所のない肉体を
持て余すように体を僅かに捻る

瞳孔が開いたままのような視線の先には
何が見えるのだろうか

一週間の間にいつ急変しても
おかしくないと説明され
延命治療には意味が無いことも
担当医師が説明したと言う

13日は
ススキノでライブをして
14日には
二つの実家のお墓参りに行くんだ

途中、寄れたら寄るけど
来たから何がどうなる訳もなく
呼ばれても直ぐには来ることは難しいよ。

そんなことを言ったら

「何?」と答えてこちらに視線を向けて
片っ方の口角を上げてにや
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