ブルー、もしくはブルー/千波 一也
 

 言葉をたくさん散らかしながら
 帰りようもない
 海を嗅ぐ



ひと月も経てば
おそらくぼくは打ち上がるだろう
鎖につながれたがる、少年の眼前に
予定どおりに
着くだろう

ぼくはそのとき
なんと名乗ろうか

名乗らずとも、きっと
少年たちは呼ぶだろうけれど

不自由すぎる
慣れた手つきで
少年たちは呼ぶだろうけれど



ぼくは
考えている

昔よりは
だいぶ軽くなった感じで
海藻みたいに
考えている

かたわらに
恋人を縛りつけて
友だちも縛りつけて

優しく、
ていねいに、きつく、
優しさの方角を見失いながら
優しく、と
言葉に
出して

海底の、
海底の、
ずっと浅瀬に
ぼくはいる



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