ブルー、もしくはブルー/千波 一也
鎖につながれたまま
ぼくは海へと落とされた
からだが腐敗していくよりも
錆びついてしまうような、
そんな気配が恐ろしくて
頑なに
ぼくは目を見開いて
泳ぎ去る魚のひれなんかを
数え続けた
果たして
なんの意味があるだろうって
うたがいながら、
数え続けた
この海の
広さについて
きっと誰もが知らなくて
だから誰もが
おののいて
毎夜
ひっそり
懐かしむ
鳥たちと
鳥たちの空へと
あこがれを抱いて
つまずきながら
その都度
こっそり
海を嗅ぐ
もう、
あまりに塩辛すぎる
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