ブルー、もしくはブルー/千波 一也
 


鎖につながれたまま
ぼくは海へと落とされた

からだが腐敗していくよりも
錆びついてしまうような、
そんな気配が恐ろしくて
頑なに
ぼくは目を見開いて
泳ぎ去る魚のひれなんかを
数え続けた

果たして
なんの意味があるだろうって
うたがいながら、
数え続けた



 この海の
 広さについて
 きっと誰もが知らなくて
 だから誰もが
 おののいて
 毎夜
 ひっそり
 懐かしむ

 鳥たちと
 鳥たちの空へと
 あこがれを抱いて
 つまずきながら
 その都度
 こっそり
 海を嗅ぐ

 もう、
 あまりに塩辛すぎる

[次のページ]
戻る   Point(4)