自分の脳みそを信じる/番田 
 

何もしたくはないのだと私は思っていたのかもしれない。誰にも声などかけられたくはなかった。死にたいという気持ちだけが、何よりも強くなっていたのかもしれない。芸術の可能性などありえないということが私や世界に生きる人々の歩調を殺している。


ブルックリンやストラトフォードにある喫茶店にももう、色々な国から集まるようなアーティストなど来ることはなかった。全ては白人によるマネーゲームなのだということにようやっと気づいたらしかった。アンディウォーホルやジャスパージョーンズによるはなばなしいアメリカの現代美術など今では紙切れほどの価値しかない。世界中のギャラリストたちはそれに気づいている。気づいてい
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