遠近感/
智鶴
錯覚することが唯一僕を肯定することだった
僕達が生まれた時にはもう既に
世界は嘘と偽物に分厚く覆い隠されて
それが何故か安心感を与えていた
昼か夜かも分からない暗闇の中で
僕達は間違いを犯し続けた
そうするように仕向けられたことにも気付かずに
いつの間にか眠ってしまって
それが夢だったことに気付く
物語の終わらせ方も分からない僕は
また誰かの世界に迷い込もうとしている
今も
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