ノート(いない わたし ?)/木立 悟
 




わたしはわたしとは別に
川に沿って進んだ
曇は倒れ 消えたあとも
水の上に映りつづけていた


わたしはわたしとは別に
どうとでもなるものだった
民族の音を消してまわった
わたしが星であり指だった


わたしは
わたしには続かなかった
うしろすがた うしろすがた
何度着替えても うしろすがた


まわる耳 まわる尾
積み重なり 川を堰き止め
湖はあふれ
丘を運んだ


わたしはかつてわたしだった
わたしに向かって降りていた
指のかたちが
わたしになった


わたしは隣のわたしだった
三つめの緑を呑んでいた
夜と夜のはざまの柱
わたししかいない原を照らしていた



















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