タイムマシン/吉岡ペペロ
別れた
あの日あなたの声を聞いた
気持ちを打ち明けあうと耳鳴りがやまなくなった
そしてあなたの体温を知った
肌に耳をあてていた
耳鳴りが海の音であったことに気づいた
あなたの乳首に執着した
はじめてあそこにしゃぶりついた
手をつないでいるだけで精子がでた
いつもいっしょにイッた
いじめられたいと思った
女みたいな声をあげてしがみついていた
楽しかった
景色も音も匂いも看板も心もなにもかも
世界でいちばん仲良しだった
ふたりとも違和感をかんじながら生きてきた
ふたりでいるとふたりぼっちになれた
ふたりぼっちでいると
幼稚園のころも
小学生のころも
中学生のころも
あなたがそばにいたことを感じとれた
あなたもそうだろう
死んだらまっさきにあなたの過去にゆき
ぼくはあなたに寄り添うから
ぼくはあなたに寄り添うから
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