雨の日には/夜雨
 
 雨の日には川辺に佇んで
 君はいつも微笑んでいた

 横顔に纏わりつく細い髪の先へ
 指を伸ばせば大気は凝って
 堅く透き通っていく指先
 眸の奥へと逃げる想い

 澄んだ硝子玉のように積み重なって
 少しずつ崩れていく
 触れられぬ想い

 僕は崩れていく硝子玉を追いかけては
 君の眸の中に
 閉ざされた空を見上げた
             
 川面に波紋が広がり
 川の流れが、時を流れる
 幾億年もの過去から
 幾億年もの未来から
 時の欠片が雨となって
 君の眸の中の空に光る

 (ほら、私たちを構成する原子が、
  今、雨になる・・・)
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