幽霊に花束を/北大路京介
 
の息が吹きかかる。
その気配が生きた人間のものではないことが直感で分かった。

「な、菜々子さん?!」
そう言いたかったけれど、口も開かないし、声も出ない。

胸と肩に重みを感じた。腕でもまわされたのだろうか。

奈々子さんの霊ならば、何をされてもかまわない
奈々子さんの霊ならば、一目見たい、話したい


ゆっくり瞼を開くと
そこにあるはずの華奢な腕はなく、
ガッシリとした男の太い腕がまとわりついていた。


奈々子さんじゃない


「 花束をありがとう。僕が死ぬ3日も前から 」


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