幽霊に花束を/北大路京介
地名から、かつて風葬の地であったことが分かる。
飢饉のときには屍の山ができていたとも伝えられている。
また、疫病などの災いが冥界からくるものとして、この交差点に石を積んで防ごうとしたこともあったという。
「この世とあの世を結ぶ交差点」と呼ぶ者もいる。
兄からオカルトうんぬんの言葉が出るのは、そういった歴史的背景がある。
交差点付近一帯には、八千とも九千ともいわれる数の石仏がある。
この地に葬られた人々のお墓として、信仰心の熱い人達によって石仏が集められたそうだが、
何度も繰り返される怪奇現象を成仏できない霊魂の仕業と考えられて、
鎮魂のために次から次へと石仏が置かれたとの説も
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