線香花火/nonya
 



  線香花火を眺めるだけのふたり


  どちらかがついた溜息



  火玉が



  落ち
  


  た



湧き上がる子供達の声

此処に連れ戻された僕は
慌てて下手な笑顔を作りながら
小さな手に花火を渡す

照れ隠しに見上げる
星も疎らな夜空
電線にひっかかったままの
少しだけ欠けた月

君はたぶん
思い出すこともないのだろう
ふたりの最後の夏を



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