致死量の幸福/
はるな
庭は
しめっている
しずかに
でも
着実に
窓際には
枯れた花が
咲いている
わたしは
濡れた戸を背に
立っている
あなたが
部屋のなかにいるのがみえる
湿度も
温度も
色もにおいも
調えられた部屋にいるのが
みえる
庭はしめっている
空はたかく
草はやわらかい
鋼鉄を背に
水中を感じている
日差しのふる午後
夥しい誘惑が
足元を這い上がる
世界は
扉のむこうにある
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