神様の声/yo-yo
大きな木には、神様が住んでいる。と、
子どもの耳が憶えている。
木肌に、耳をつけて、
神様の声をきく。
そうやって一度だけ、
神様の声を、聞いたことがある。
言葉はわからない。ただ、
水が流れるような、音の声だった。
いまでも夜中に、ふと、
子どもの耳がおもいだす。
どこかで、水が流れている。
あの音の声だ。
神様ではないかもしれない。
が、とおい音の存在の、音にならない音。
言葉にならない言葉。
に、耳をすましてしまう。
大きな木は、どこにあるのか。
夜の木肌にふかく、耳をあてる。
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