遅い春/竜門勇気
違ったばかりの現実の
まだ塞がらないきず
やたらとぶっつけたくなる
せめてのムシャクシャが
どっか頭の中通り抜けて痛みを残す
どっかの誰かが通り抜ける
昼前の繁華街に
ナイフだけで武装してる影がいっぱい
目立たないからって
存在しないはずの自分
他人は怖くねーよ
みんながそういうから
そのふり
どっちかに転んで
ついでにあれこれ振り回せれそうで
やになるだけだ
どっかの誰かが
笑いながら生きてる繁華街
ぶっ壊しそうで黙って壊れたまま
いつもどおり
わけも分からず
泣きそうになって隠れた
あんまりにも腹がたって
いつもどおり
約束の場所に
辿りつけなかった
背中に生えてくカビに
祝福を捧げている
戻る 編 削 Point(1)