山のお坊さんのはなし/チアーヌ
 
 山のお坊さんはおじいさんでした。
いつごろからおじいさんになったのかは覚えていませんが、いつのまにか山のお坊さんはおじいさんになっていたのでした。

 山のお坊さんは、誰もいなくなった山の里で暮らしています。
 お坊さんが若い頃から、人の少ない山里でしたが、お坊さんはお寺が無人になってはよくないと、山に残って暮らしていたのです。
 きつねも、たぬきも、くまも、山鳥も、鹿も、お坊さんにとっては身近な友人たちです。

 山のお坊さんは、畑を耕したり、お米を作ったりしながら、山の里で楽しく暮らしています。電気もガスも水道もありませんが、そんなに困ることはありません。夏は野菜、冬は漬物でご
[次のページ]
戻る   Point(7)