カーテン/月見里司
 
錆の浮いたガス栓を少し捻ったのは
標本が見ていた
リノリウムの床を上履きで踏みつける
よそよそしい靴音

思い出の中にある理科室では
夕方がひどく長引いていて
折れてしまうんじゃないかと思うような
細い足が横たわっていて
あとは火花が何とかしてくれた

人体模型の目だけ
僕のそれ


//2011年6月 日付不明
戻る   Point(0)