夕立雲/花キリン
 
       
花風がカーテンを揺らしていく。小刻みに空の青さが変化していく。庭にはまき水をした形は残っていない。木々と花々の境界線の弱弱しさ、視覚から萎れかかるものが消えていく。雲は夕立の前触れだ。自動詞や他動詞が暑さに辟易しながら、右回りに回転する大きな時間軸を気にしている。煙突の高さを飛び越えて夕立雲がやってくる。繊細な時間が少し賑やかになり、ひんやりとした風がカーテンを大きく巻き上げていく。空の青さが落下した辺りでは稲妻が光っている。買い物袋を下げた急ぎ足。時間が小刻みに闇の姿に繋がろうとしている。歩道には誰もいない。散歩していた犬までも消えてしまった。一瞬静まり返って呼吸する音だけが聴こえてくる。まもなく一気に夜になるのだろう。

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