太陽を借りた黒犬/シリ・カゲル
った。
狼みたいだからやめなさいと
母犬にさんざん言われ続けた遠吠えを
市の応接室で思わずしてしまうくらいの
それは、それは痛快な気分だった。
太陽を手に入れてからの黒犬は
どこへ行くにも肌身離さず
自分でフェルトで作ったポシェットに
いつも太陽を入れて持ち歩いていた。
それからしばらくは日々是好日。
黒犬の営業成績は旭日昇天の勢いで
いまだかつて僕の部の誰もが成し遂げられなかった
ミシュランの星付きレストランの受注も奴がとった。
加入している野球チームでの成績も急上昇で
都大会2回戦、
相手の4番のホームラン性の当たりを
フェンスによじ登ってスマートにグラ
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