太陽を借りた黒犬/シリ・カゲル
 
6ヶ月と13日間、待って待って待ち続け
ようやく巡ってきた
太陽を借りる順番。
昼休み、
市の職員から職場に電話がかかってきたとき
黒犬の奴は本当にうれしそうで
その日の午後の得意先回りでは
うれしさのあまり、出されたアイスコーヒーを
テーブルの上に豪快にぶちまけたくらいだった。
もちろんプレゼン資料はぐしょぐしょ。
あわててテーブルを拭く
黒犬の顔は笑顔でぐしゃぐしゃ。

太陽を借り受ける当日、
黒犬は洗ったばかりのシャツに袖を通し
iPodからはお気に入りの
ブラックミュージック。
市の職員から太陽をじかに手渡されたときは
それは、それは誇らしげな気分だった
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