板谷基雄のこと/板谷みきょう
こんな時間に一体誰なんだよ。と。
少々不機嫌になりながら
重い腰を上げて電話に向う
受話器の向こうから
「みきょーかい?
かぁさんだよ。
モト―が、いよいよだよ。
長くないんだよ。
お願いだから
会いに行っておくれよ。
頼むよ。」
唐突にそれだけいうと
黙ってしまった。
「判ったよ。」
そう返事するしかなかった。
ぶっきら棒に返事をするのは
親子だから許されている唯一だったり
実際の処
地方で開催されている年に一回の
野外ライブに出演すべく
出発する算段で居たから
どんなに早くとも
兄貴の元に面会に行ける
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